野茂英雄のすごいところ、それはあんまりメジャーリーグに興味がないアメリカ人でも野茂を知っているというところだ。
1994年、大リーグはシーズン半ばで大きなストライキを敢行した。ストライキ続行のままプレーオフもワールドシリーズも行われずシーズンは終了。これによってメジャーリーグの人気は凋落することになるだろうと思われていた。
しかし同年、球団と喧嘩別れして日本球界を去った一人の若者は、翌95年ロスアンゼルスのマウンドに立つことになる。その独特なフォームから繰り出される直球とフォークボールというたった2種類の球種のみで、デビュー以来メジャーリーガーからバッタバッタと三振の山を築き上げた。これがザ・トルネード、野茂英雄だった。
新人ながらオールスター戦に選ばれた。衛星放送でその映像を見て本当に感動した。しかも先発投手となり、完璧にア・リーグの打者を抑え込む。ベンチに引き上げるときに僕と年の変わらない日本人が本物のメジャーリーガーたちとハイタッチしている映像を見て、思わず「凄い」と唸ってしまったのを覚えている。
昨年、「イチローを知ってるか?」とあるアメリカ人の知人に聞いたときに、「知ってる、ピッチャーだろ?わりといいよね」と言われたことがある。そんなレベルのその知人に「野茂は知ってるのか」と聞くと、野茂のことはノーヒットノーランを二度達成したことなど、かなり詳しく正確に知っていた。
野茂は「ノモマニア」と呼ばれるコアなメジャーリーグファンを生み出し、ストライキによる野球人気の凋落を救ったとされている。だからアメリカであまり野球が好きではない人でも、野茂の知名度は高い。
今号のスポルティーバのインタビューで野茂自身が語っている通り、本当に肘が完治してもう一度マウンドに立つのなら、僕は必ずそれを見に行くつもりだ。メジャーリーグを初めて見たときにドジャースタジアムで買った、僕の宝物であるドジャース野茂のTシャツはその時まで大切にしまっておくことにする。
野茂の話は尽きない。次回は野茂が大好きな東十条の場末のスナックのババアについて。

かつて野茂の写真を見ることができたこの場所で昨年は斉藤隆が堂々と写真になっていた

ドジャースタジアムの駐車場の向こう側に見える「THINK BLUE」のサイン。これを見るとなぜかホッとする